特集1:今の「時事」がわかる。



特集2:「人」が伝える今。
魂から動かす「魂動」 | 植村氏



特集3:「写真」が伝える今。



魂から動かす「魂動」

「roots & fruits」の岩崎さんからご紹介の「アウターネットワーク」で"地域活性プロデューサ"として、また"和太鼓奏者"としてもご活躍されている植村さんに、お話をうかがいました。

破天荒


植村さんとお爺さまの写真
「僕の左半身は自由が利きません」そう言いながら温かなお茶をふるまっていただいた。作曲家であり和太鼓奏者である植村さんは、その一方でアウターネットワークを運営しながら、地域の活性化や人と人とのつながり図るべく、精力的な活動を行なっている。その原動力はどこにあるのか、そして輝かしい功績の裏にある「情熱」が語られた。

植村さんの、これまでの人生は起伏に富んでいる。音楽に関心のあった植村さんは、高校時代にバンド活動をはじめ、大手レーベルに自作のテープを送り、デビューを勝ち取ろうとしていた。「売れる音楽をつくることに抵抗を感じたんです。とにかく若かったですね」量産される流行の音楽ではなく、人の心を揺さぶる音楽をつくることにこだわった結果、デビューには至らなかった。そんな折、おじいちゃんと母親がイギリス旅行から帰ってきて、「英語学校の入学金は払ってきた。行くのも行かないのもお前の自由だ」とイギリス行きの切符を手にする。「何か可能性を感じた」という植村さんは、あまりにも突然の出来事を受け入れた。

情熱の果てに


無限響のポスター写真
[植村さんご提供]
イギリスでの生活をはじめた植村さんは、やはり音楽を通じて多くの仲間との"信頼"を築き、作曲や舞台のプロデュースにも活動の場を拡げていった。

活動を精力的におこなった。そこで和太鼓奏者のイギリス人に出会う。「和太鼓をたたく彼の音楽に新しさを感じた」という植村さんは、"あたりまえ"のことが"あたりまえ"ではなく多くの可能性を秘めていることに気付く。異文化が交流を図ることで、人と人が出会うことで生まれる"新しさ"と"感動"。そしてツアーをまわるまでに評価を得ていく。


無限響時代の写真 [植村さんご提供]

月日は流れヴィザの期限が迫り、アーティスト・ヴィザの取得が求められるようになったが、実績不足のため取得できず、帰国を余儀なくされる。帰国後、テレビドラマ・CM・ビデオなどの作曲で実績をつくり、3年後アーティストビザを取得、2000年に再渡英しヨーロッパ唯一のプロ和太鼓グループ「無限響」に所属し、プロ和太鼓奏者としてヨーロッパ各地を周る。再渡英1年後の正月一時帰国時、同窓生との再会があった。

富士宮にもどり、地元の元気がないことに気がついた。多くの人は気がつき、何か行動を起こさないといけないと思う反面、日常の忙しさや関心ごとに後手となり、そのままとなることが常である。しかし、植村さんは「後でこうしておけばよかった」と言って嘆くのは嫌だと言うように、その行動を起こした。2002年12月、同窓生6人とはじめた"アウターネットワーク"の立上げだった。

「不眠不休で走りまわった」そして現在、約400の加盟店とともに地域活性を図っているが、その影には1万件以上に及ぶ店舗等への営業があったという。「下地も伝手もない中、今まで継続しているのは、人とのつながりがもたらしてくれた結果」と感謝の念を忘れない。ようやく実を結びつつある中、立上げから一年後の2004年、植村さんは脳内出血で倒れ、生死の境をさまよう。

夢からはじまる今

幸い、一命をとりとめたが左半身麻痺という重い障害を患った。和太鼓を叩けない、もう駄目だと思ったが、友人から「片手でも音楽はできる、感動させるコトだってできる!」と励まされ、「何かできることがあればいい」とリハビリを経て活動を再開した。


復帰後の活動 [植村さんご提供]
植村さんの考え方は、この過酷な状況下でも変わらない。自分が想い描いたこと、夢を信じ行動につなげている。「そんなこと馬鹿げている」とあきらめるのではなく、「どうしたら出来るのか」を考え、行動し、時には失敗をしてもそれを糧として挑戦し続けている。




アウターネットワーク創刊号の写真(メンバーカード) [植村さんご提供]
「月額1万円でパソコン教室や英会話、エステまで、何度でも受けられたらどうですか」そんな夢のようなサービスを、現に可能としている。「全ての答えは、とても身近なところにあると思っています。自然の摂理に目を向けるんです」多くの会員が地元でサービスを低額で受けることで、人・もの・お金がグルグルと循環し、このサービスの受給者(市民)・提供者(商店)が満足を得られている。言葉では簡単だが、「現実には多くの問題を抱え、ひとつひとつを親身にケアしてきたことで、ここまで継続している」という。

「僕にも、誰しも多かれ少なかれ郷土愛はあります。地域を元気にしてあげたいのもありますが、それは経済的な側面だけでないという認識も大切です」とも付け加えた。根本的な問題として、地域での助け合いや、その様な機会を得られる"つながり"の場、つまり人と人とのつながりを創出し、活用することを意識することで、結果的に活気がわいてくるという。

全国から、この話を聞きつけた人がノウハウを学び実践したがうまくいっている例は少ないのが現実である。「多くの人とのつながり、信頼関係、そして惜しみない手間を覚悟して、情熱を絶やさないと、とても出来ない」一人の夢からはじめた試みは、今現実となり継続している。その背景にある、計り知れない情熱が成せるものであった。

魂動[こんどう]


魂動を目指し叩き続ける
[植村さんご提供]
植村さんがつくりだすものは「魂動」を目指している。現代の世の中は、理にかなった行為でしか評価されづらい。しかし"理動"で動けることは限られる。人は理屈で分かっていても動かない。"感動"は人々の心に触れるが、その更に上の「魂を揺さぶり動かす」"魂動"を目指している。何よりも、当人にその使命感とスピリットが宿っていなければ、人に対して共感を、そして行動を成せることではなかろう。

ハンディを負いながらも「時間は掛かりましたが、何かをやってやろうと思ってやらなければ何もはじまらないこと、自分は人とのつながりの中にあること、そして生きている奇跡に気付けたイイきっかけだと思っています」と前を見据え、尚も大きな夢を語る姿に、魂を動かされる想いでいっぱいとなった。

帰り際、「次回は飲みに行きましょう、こうして出会えたこともご縁ですから」と声を掛けられた。仕事で出会い、数時間の取材の中で生まれたかかわりも"縁"であり"新たなはじまり"なのだ。植村さんとの化学反応が何を生み出すのか、期待を膨らませ「こちらこそ!」とその場を後にした。

Information

植村勝博さんのプロフィール
1971年 静岡県富士宮市に生まれる
1993年 デザインの専門学校を卒業
1994年 単身で渡英(イギリス)
2002年 アウターネットワーク設立
2004年 脳内出血により左半身麻痺となる
2008年 現在、アウターネットワーク代表、作曲家・片手のプロ和太鼓奏者として活動中

主な作曲作品
TVアニメ「クレヨンしんちゃん」DVD発売CM
ドラマ「REDRUM(フジテレビ)」DVD版サウンドクリップ
ドラマ「少年サスペンス(テレビ朝日)」テーマソング
松下電工「ラムダッシュ」CM
花王「エッセンシャル」CM
大石恵プロモーションビデオ「昨日・今日・明日」サウンドトラック

和太鼓奏者としての主な活動
1994 - 2002 ヨーロッパ公演(200以上)「Mugenkyo」
2002 映画「AWARA PAAGAL DEEWANA」出演
2002 第3回アジアビューティーEXPO(みなとみらい)
2006 第7回伊豆半島太鼓フェスティバル出演

メディア関連
新聞掲載(計50以上)
テレビ報道(計10以上)

OUTER NETWORK[アウターネットワーク]
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